ディジタルフィルタ設計

ディジタルフィルタは、離散時間信号から特定の周波数成分を抽出・除去する基本的な信号処理技術である。 音声処理、画像処理、通信システムなど、幅広い分野で活用されている。

本シリーズでは、FIRフィルタとIIRフィルタの設計手法を体系的に学習する。

レベル別学習

FIRフィルタ

FIR(有限インパルス応答)フィルタは常に安定で、線形位相特性を実現できる。 設計手法には窓関数法、周波数サンプリング法、最適化手法がある。

FIR設計手法の分類

表1: FIRフィルタ設計手法の比較
手法 最適化基準 特徴
Parks-McClellan法 $L^\infty$(最大誤差最小) 等リップル、最悪ケース保証
最小二乗法 $L^2$(平均二乗誤差最小) 解析的、高速計算
窓関数法 なし(経験的) シンプル、直感的
周波数サンプリング法 なし(補間) FFTベース、高速
チェビシェフ補間法 補間点通過 理論的裏付け

選択の指針

  • 阻止域減衰量の保証が必要 → Parks-McClellan法
  • 計算速度が重要 → 窓関数法または周波数サンプリング法
  • 平均的な性能を重視 → 最小二乗法
  • 特定周波数での精密制御 → 周波数サンプリング法またはチェビシェフ補間法
  • 適応フィルタなどリアルタイム更新 → 最小二乗法(LMS等)

IIRフィルタ

IIR(無限インパルス応答)フィルタは、少ない次数で急峻なカットオフ特性を実現できる。 アナログフィルタの設計手法を双一次変換などでディジタル化して得ることが多い。

表2: IIRフィルタ(古典的アナログフィルタ)の比較
フィルタ 通過域 阻止域 特徴
バターワース 単調減少 単調減少 最大平坦特性
チェビシェフI型 等リップル 単調減少 急峻なカットオフ
チェビシェフII型 単調減少 等リップル 通過域リップルなし
楕円(Cauer) 等リップル 等リップル 最も急峻

詳細記事

以下の記事では、各設計手法を詳しく解説している。

前提知識

  • フーリエ変換の基礎
  • Z変換の基礎(離散時間システム)
  • ラプラス変換(IIRフィルタ向け)
  • 線形代数の基礎(最適化手法向け)

参考資料