シンプソンの公式

この章の目標

シンプソン則の導出(2次多項式近似)、誤差 $O(h^4)$ の評価、複合シンプソン則を理解する。

目次

2. シンプソンの3/8公式

4点を用いた3次ラグランジュ補間に基づく公式である。

シンプソンの3/8公式

$$\displaystyle\int_a^b f(x)\,dx \approx \dfrac{3h}{8}\bigl[f(x_0) + 3f(x_1) + 3f(x_2) + f(x_3)\bigr], \qquad h = \dfrac{b-a}{3}$$

重み比は $1:3:3:1$ であり、3次多項式に対して正確な値を与える。分割数が3の倍数の場合に便利である。

3. 複合シンプソン公式

区間 $[a,b]$ を $n$(偶数)等分し、隣り合う2区間ごとに1/3公式を適用する。$h = (b-a)/n$ とすると、

複合シンプソン公式

$$S_n = \dfrac{h}{3}\bigl[f(x_0) + 4f(x_1) + 2f(x_2) + 4f(x_3) + \cdots + 4f(x_{n-1}) + f(x_n)\bigr]$$

重み係数は $1, 4, 2, 4, 2, \ldots, 4, 2, 4, 1$ のパターンに従う。

4. 誤差評価

定理(複合シンプソンの誤差)

$f \in C^4[a,b]$ のとき、

$$\displaystyle\int_a^b f(x)\,dx - S_n = -\dfrac{(b-a)h^4}{180}\,f^{(4)}(\xi), \qquad \xi \in (a,b)$$

すなわち誤差は $O(h^4)$ である。

台形公式の $O(h^2)$ に比べて2段階高い精度を持つ。刻み幅 $h$ を半分にすると誤差はおよそ $1/16$ になる。

5. 台形公式との精度比較

10⁻¹⁰ 10⁻⁸ 10⁻⁶ 10⁻⁴ 10⁻¹¹ 64 128 256 512 1024 n(分割数・対数間隔) |誤差| 台形 O(h²) Simpson O(h⁴)
図2. $\displaystyle\int_{-4}^{4} \operatorname{sinc} x\,dx$ に対する台形公式とシンプソン公式の誤差の収束(両対数)。分割数 $n=64,128,256,512,1024$ における実測誤差($T_n$・$S_n$ と真値 $\approx 0.9499$ の差)をプロットした。台形公式は傾き約 $2$($O(h^2)$)、シンプソン公式は傾き約 $4$($O(h^4)$)で、ピークを十分解像できる細かさになると同じ $n$ でもシンプソン公式の方が桁違いに小さく、より急に減少する。被積分関数は図1と同じ $\operatorname{sinc} x$ である。
公式補間次数精度次数誤差オーダー
台形公式1次1次$O(h^2)$
Simpson 1/32次3次(+ボーナス)$O(h^4)$
Simpson 3/83次3次$O(h^4)$

6. よくある質問

Q1. シンプソンの公式とは何か

3点を通る放物線の下の面積で定積分を近似する数値積分法である。1/3公式は $\dfrac{h}{3}[f(a)+4f(m)+f(b)]$ で与えられ、3次以下の多項式に対して正確な値を返す。

Q2. シンプソンの公式の精度はどのくらいか

複合シンプソン公式の誤差は $O(h^4)$ である。台形公式の $O(h^2)$ と比べて2段階高い精度を持つ。

Q3. 1/3公式と3/8公式の違いは何か

1/3公式は2次補間(3点)、3/8公式は3次補間(4点)に基づく。精度はどちらも $O(h^5)$(単一区間)だが、3/8公式は分割数が3の倍数の場合に便利である。

7. 参考資料

  • Wikipedia「シンプソンの公式」(日本語版)
  • Wikipedia「Simpson's rule」(英語版)
  • R. L. Burden & J. D. Faires, Numerical Analysis, 10th ed., Cengage, 2016.
  • P. J. Davis & P. Rabinowitz, Methods of Numerical Integration, 2nd ed., Academic Press, 1984.