周期関数
繰り返しパターンを持つ関数
入門(高校数学レベル)
はじめに
自然界には、一定のパターンが繰り返される現象が多く存在する。心臓の鼓動、地球の公転、交流電流の波形など、これらはすべて「周期的」な現象である。
本章では、このような現象を記述する「周期関数」について学ぶ。
周期関数の定義
定義:周期関数
関数 $f(x)$ が周期関数であるとは、ある正の定数 $T > 0$ が存在して、すべての $x$ に対して
$$f(x + T) = f(x)$$
が成り立つことをいう。このとき $T$ を $f$ の周期という。
基本周期
周期関数の周期は一意ではない。$T$ が周期なら $2T, 3T, \ldots$ もすべて周期である。最小の正の周期を基本周期という。
例:三角関数の周期
- $\sin x$, $\cos x$ の基本周期は $2\pi$
- $\tan x$ の基本周期は $\pi$
- $\sin(2x)$ の基本周期は $\pi$(周波数が2倍になると周期は半分)
周期関数のパラメータ
一般的な正弦波は次の形で書ける:
$$f(x) = A\sin(\omega x + \phi)$$
振幅 $A$
波の「高さ」を表す。$|A|$ は最大値と平均値の差(または最小値と平均値の差の絶対値)に等しい。
角周波数 $\omega$
「どれだけ速く振動するか」を表す。周期 $T$ との関係は:
$$T = \dfrac{2\pi}{\omega}$$
位相 $\phi$
波の「ずれ」を表す。位相が変わると、波形全体が左右にシフトする。
例
$f(x) = 3\sin(2x + \dfrac{\pi}{4})$ の場合:
- 振幅:$A = 3$
- 角周波数:$\omega = 2$
- 周期:$T = \dfrac{2\pi}{2} = \pi$
- 位相:$\phi = \dfrac{\pi}{4}$
周波数
物理学や工学では、周期の逆数である周波数がよく使われる:
$$f = \dfrac{1}{T} = \dfrac{\omega}{2\pi}$$
周波数の単位は Hz(ヘルツ)で、「1秒間に何回振動するか」を表す。
音の例
- 基準音 A(ラ)の周波数は 440 Hz
- 1オクターブ上がると周波数は2倍になる
周期関数の例
矩形波(くけいは)
一定の間隔で $+1$ と $-1$ を交互に繰り返す:
$$f(x) = \begin{cases} 1 & (0 \leq x < \pi) \\ -1 & (\pi \leq x < 2\pi) \end{cases}$$
これを周期 $2\pi$ で繰り返す。
矩形波
三角波
直線的に上昇・下降を繰り返す:
$$f(x) = |x| \quad (-\pi \leq x < \pi)$$
これを周期 $2\pi$ で繰り返す。
三角波
のこぎり波
直線的に上昇し、急激に下降する:
$$f(x) = x \quad (-\pi \leq x < \pi)$$
これを周期 $2\pi$ で繰り返す。
のこぎり波
これらの非正弦波的な周期関数も、フーリエ級数を使えば正弦波の和として表現できる。これがフーリエ解析の威力である。
まとめ
- 周期関数は $f(x+T) = f(x)$ を満たす関数
- 正弦波のパラメータ:振幅、角周波数(周期)、位相
- 周波数は周期の逆数
- 矩形波、三角波、のこぎり波なども周期関数
よくある質問
Q1: 周期関数とは何か。
A: 関数 $f(x)$ がある正の数 $T$ に対して全ての $x$ で $f(x+T) = f(x)$ を満たすとき、$f$ を周期 $T$ の周期関数という。最小の正の $T$ を基本周期という。$\sin x$($T=2\pi$)、$\tan x$($T=\pi$)などが代表例である。
Q2: 周期関数のグラフを描くときのコツは何か。
A: 一周期分($0 \leq x < T$ など)の形を描き、それを左右に繰り返せばよい。$x$ 軸との交点(零点)、最大・最小値の位置を確認し、不連続な場合は跳躍点も明示する。複数の周期関数の和を描くときは各成分を重ね合わせる。
Q3: 非周期関数をフーリエ解析でどう扱うか。
A: 有限区間 $[a, b]$ では周期 $T = b-a$ の周期関数として拡張してフーリエ級数を用いる。区間全体 $(-\infty, \infty)$ では周期 $T \to \infty$ の極限としてフーリエ変換(連続スペクトル)を用いる。