本棚やベッドサイドに、買ったまま読んでいない本が山積みになっていませんか?
その光景を見るたびに、なんとなく罪悪感を感じていませんか?
日本には「積読(つんどく)」という言葉があります。 買った本を読まずに積んでおくことを指すこの言葉は、海外でも「Tsundoku」としてそのまま使われるほど、世界中の読書家に共感される概念です。
でも、積読は本当に「悪いこと」なのでしょうか? この記事では、積読に対する見方を変え、むしろ積読を「宝の山」として活用する方法をお伝えします。
積読は「未来の読書リスト」である
まず、積読に対する考え方を変えてみましょう。
積読は「読んでいない本」ではありません。 「いつか読みたいと思った本のコレクション」、つまり「未来の読書リスト」なのです。
作家ウンベルト・エーコの「反蔵書」
イタリアの作家・哲学者ウンベルト・エーコは、3万冊以上の蔵書を持っていました。 訪問者から「これ全部読んだんですか?」と聞かれると、彼はこう答えたそうです。 「読んでいない本こそが重要なんです。それは私がまだ知らないことを示しているのですから」 彼はこれを「反蔵書(Antilibrary)」と呼びました。 未読の本は無知の象徴ではなく、知的好奇心と学習の可能性の象徴なのです。
本を買うという行為は、「その時点でその本に興味を持った」という記録です。 たとえ今すぐ読まなくても、その興味は消えません。 むしろ、時間が経ってから読むと、違う視点で読めることもあります。
積読の「適量」を考える
とはいえ、積読が際限なく増えると、管理が難しくなります。 また、「いつか読もう」が永遠に来ない本も出てきます。
では、積読の「適量」はどのくらいでしょうか?
積読の適量を考える3つの視点
- 物理的なスペース:本棚に収まる量か?床に積まれていないか?
- 心理的な負担:積読を見て罪悪感を感じるか?プレッシャーになっているか?
- 現実的な読書ペース:月に何冊読めるか?今の積読は何ヶ月分か?
一般的な目安として、「3ヶ月〜半年分の読書量」程度の積読は健全と言えるでしょう。 月に2冊読む人なら6〜12冊、月に5冊読む人なら15〜30冊といった具合です。
それ以上になると、「読みたい本」というより「いつか読むかもしれない本」になりがちです。
積読に優先順位をつける5つの基準
積読の山から「次に読む本」を選ぶとき、どう優先順位をつければいいでしょうか? 以下の5つの基準が参考になります。
1. 今の自分に必要か?
買った当時は興味があっても、今の自分には必要ない本もあります。 逆に、当時はピンと来なかったけど、今読むとまさに必要な本もあります。 「今の自分の課題や興味に直結するか」を基準に選びましょう。
2. 賞味期限があるか?
技術書やビジネス書など、情報に「賞味期限」がある本は優先度を上げましょう。 古典文学や哲学書は10年後に読んでも価値は変わりませんが、 「2024年版○○ガイド」は2026年に読んでも意味がありません。
3. 続きものの途中か?
シリーズものの途中で止まっている場合、前の巻の内容を忘れないうちに読むのがベストです。 長く放置すると、1巻から読み直す羽目になることも。
4. 誰かに勧められたか?
友人や尊敬する人から勧められた本は、その人との会話のきっかけになります。 「あの本読んだよ」と報告できると、関係性も深まります。 勧めてくれた人の記憶が新しいうちに読むのが理想です。
5. 薄いか厚いか?
読書のモチベーションが下がっているときは、薄い本から攻略するのも手です。 1冊読み切る達成感が、次の読書への弾みになります。 逆に、読書モードに入っているときは、厚い本に挑戦するチャンスです。
優先順位マトリックス
| 緊急性:高 | 緊急性:低 | |
|---|---|---|
| 重要度:高 | 今すぐ読む | 計画的に読む |
| 重要度:低 | スキマ時間に | 手放すか保留 |
積読を減らす3つの方法
優先順位をつけた結果、「読まないかもしれない本」が見えてきたら、 思い切って整理することも大切です。
1. 「読まない」と決める勇気
買った本をすべて読む必要はありません。 興味がなくなった本、今の自分には合わない本は、「読まない」と決めることも選択肢です。 その決断が、本当に読みたい本に集中する余裕を生みます。
2. 図書館・友人に譲る
読まない本を捨てるのは忍びない…という人は、図書館への寄贈や友人への譲渡を検討しましょう。 本が次の読者に届くと思えば、手放す罪悪感も薄れます。
3. 古本屋・フリマアプリで売る
状態の良い本は、古本屋やフリマアプリで売ることができます。 得たお金で「今読みたい本」を買うと考えれば、積読が資産になります。
本の「循環」という考え方
本は「所有」するものではなく、「通過」するものと考えてみましょう。 自分のところに来て、読んで(または読まずに)、次の人のところへ行く。 そう考えると、本を手放すことへの抵抗感が薄れます。 また、本棚に空きができると、新しい本を迎える余裕も生まれます。
積読を「見える化」するメリット
積読を効果的に管理するには、「見える化」が重要です。 物理的に積んであるだけでは、何を持っているか把握しきれません。
積読の見える化で得られるメリット
- 重複購入を防げる:「あれ、これ持ってたかな?」がなくなる
- 次に読む本を決めやすい:選択肢が一覧で見られる
- 読書モチベーションが上がる:「こんなに読みたい本がある!」と前向きになれる
- 優先順位をつけやすい:俯瞰して比較できる
読書記録ツールを使えば、積読(未読・読書中の本)をリスト化し、 進捗0%の本を一覧で確認できます。 「次に読む本」を決める際に、リストを眺めて選ぶことができるのです。
また、購入日や「なぜこの本を買ったか」をメモしておくと、 後で読むときに当時の興味や目的を思い出せます。
新たな積読を増やさないコツ
積読を整理しても、また増えてしまっては意味がありません。 新たな積読を増やさないためのコツを紹介します。
1. 「1冊読んだら1冊買う」ルール
シンプルですが効果的なルールです。 1冊読み終えるまでは新しい本を買わないと決めると、積読は増えません。 読書のモチベーションにもなります。
2. 図書館を活用する
「読みたいかも」程度の本は、まず図書館で借りてみましょう。 読んでみて「手元に置きたい」と思ったら購入する、という流れです。 図書館で借りた本が面白くなかった場合、返却するだけで済みます。
3. 「欲しいものリスト」に入れて寝かせる
Amazonなどの「欲しいものリスト」や読書管理アプリの「読みたい本リスト」に入れて、 1週間〜1ヶ月寝かせてから購入を判断しましょう。 衝動買いを防ぎ、本当に読みたい本だけを買うようになります。
4. 電子書籍を検討する
電子書籍なら、物理的なスペースを取りません。 積読が増えても本棚があふれる心配がなく、持ち運びも便利です。 ただし、電子書籍の積読も増えすぎると管理が大変なので、リスト化は必要です。
積読と上手に付き合う心構え
最後に、積読と上手に付き合うための心構えをお伝えします。
積読との健全な付き合い方
- 罪悪感を手放す:積読は「読んでいない証拠」ではなく「興味の証拠」
- 完璧主義を捨てる:すべての本を読む必要はない
- 今の自分を優先する:過去の自分が選んだ本より、今の自分が読みたい本を
- 読書を楽しむ:義務感で読んでも楽しくない。読みたい本を読もう
積読は、あなたの知的好奇心の証です。 「読んでいない本がこんなにある」と落ち込むのではなく、 「読みたい本がこんなにある」と前向きに捉えましょう。
そして、その宝の山から、今日読む1冊を選んでみてください。
まとめ
積読は決して悪いことではありません。 むしろ、あなたの知的好奇心と学習意欲の表れです。
この記事のポイント
- 積読は「未読の本」ではなく「未来の読書リスト」
- 優先順位をつけて「今読むべき本」を選ぶ
- 読まない本は手放す勇気も大切
- 積読を「見える化」して管理する
- 新たな積読を増やさない工夫をする
あなたの積読が、未来の自分を豊かにする「宝の山」になりますように。