ラドン変換 入門

投影とサイノグラム(大学初年度レベル)

入門の概要

元の画像 $f(x,y)$ $\theta$ 線積分 $\displaystyle\int_L f\,dl$ サイノグラム $p(s,\theta)$ $\theta$ (0° → 180°) $s$ 各角度 $\theta$ での投影データを集めたものがサイノグラム 点が正弦波(サイン曲線)を描く → サイノグラム

入門では、ラドン変換の基本的な考え方を学ぶ。「2次元の物体を1次元の投影データに変換する」という操作が何を意味するのか、直感的に理解することを目指す。

学習目標

  • 線積分(投影)の幾何学的意味を理解する
  • サイノグラムの概念を理解する
  • X線CTスキャンの原理を概観する
  • なぜ投影から元の画像を復元できるのか理解する

目次

  1. 第1章 X線CTと投影

    歴史、X線CTの直感、投影=線積分

  2. 第2章 線積分の幾何学

    直線の $(s, \theta)$ 表現、線積分、ラドン変換の定義、具体例

  3. 第3章 サイノグラム

    投影データの可視化、特徴の解釈

  4. 第4章 X線CTの原理

    X線の減衰、投影データの取得

  5. 第5章 再構成の概要

    投影から画像を復元する基本的なアイデア

前提知識

  • 微分積分の基礎(積分の計算)
  • 三角関数の基本
  • ベクトルと直線の方程式

読み物

  1. 体の中を見る数学 ― 切らずに覗くという発想 [読み物]

    メスを入れずに体の中を見る発想はどこから来たのか。応用のあてもなく生まれた1917年のラドンの定理が、半世紀後にCTを支えるまでを肩の力を抜いて語る。

  2. 投影で中身を知る、いくつもの流儀 ― CT・MRI・地震波・天文 [読み物]

    体だけではない。地球の内部も遠くの天体も、外から集めた手がかりを束ねて中身を描く――投影で内部を知るという同じ発想を、CT・MRI・地震波・天文を横断して気軽に語る。

  3. スーツケースの中身を透かす ― 空港スキャナーと影あてゲーム [読み物]

    空港の荷物検査も、果物を割らずに調べる検査も、根は「開けずに中身を当てる」同じ発想。影あてゲームを入口に、身近なスキャナーからラドン変換の考え方を肩の力を抜いて語る。