三角形の面積「底辺 × 高さ ÷ 2」の証明

Area of a Triangle

入門(中学数学レベル)

このページの目標

三角形の面積が $\dfrac{1}{2}\times$ 底辺 $\times$ 高さ になることを、長方形を対角線で二等分してできる合同な直角三角形を用いて証明する。鈍角三角形にも例外なく通用させる方法まで理解する。

1. 証明したいこと

三角形の面積 $S$ は、$1$ 辺を底辺、それに向かい合う頂点から底辺へ下ろした垂線の長さを高さとすると、

$$S = \frac{\text{底辺} \times \text{高さ}}{2}$$

で求められる。「高さ」は斜めの辺の長さではなく、頂点から底辺(またはその延長線)へ下ろした垂線の長さである点に注意する。以下では、長方形に入れて二等分する方法でこれを証明し、どんな三角形でも面積が求められることを示す。

2. 証明:長方形に入れて二等分する

三角形 $ABC$ を、底辺 $BC$ を下辺とし、頂点 $A$ が上辺にのる長方形の中にちょうど収める。頂点 $A$ から底辺 $BC$ に垂線 $AH$ を下ろすと、垂線の足 $H$ は底辺を長さ $p$($=BH$)と $q$($=HC$)の $2$ 部分に分け、$AH$ の長さは高さ $h$ に等しい(長方形の高さそのもの)。

三角形の面積=底辺×高さ÷2 の証明図(合同な三角形を同色で表示) A B C H p q h 合同(各 ph/2) 合同(各 qh/2)
図1. 三角形 $ABC$ を長方形に収め、頂点 $A$ から底辺へ垂線 $AH$ を下ろす。垂線で分かれた左の直角三角形 $ABH$(青○)は $p\times h$ の長方形を対角線 $AB$ で二等分した片方、右の直角三角形 $ACH$(オレンジ□)は $q\times h$ の長方形を対角線 $AC$ で二等分した片方。同じ色の三角形どうしは合同で、それぞれの三角形は自分を囲む長方形のちょうど半分になっている。

垂線 $AH$ によって、三角形 $ABC$ は $2$ つの直角三角形 $ABH$ と $ACH$ に分かれる。

  • 左(青):直角三角形 $ABH$ は、$2$ 辺 $p$($=BH$)と $h$ を辺とする長方形を、対角線 $AB$ で二等分した片方である。長方形の対角線は面積を等分するから、青い $2$ つの三角形は合同で、その面積は $$\triangle ABH = \frac{1}{2}\,p\,h = \frac{ph}{2}$$
  • 右(オレンジ):直角三角形 $ACH$ は、$2$ 辺 $q$($=HC$)と $h$ を辺とする長方形を、対角線 $AC$ で二等分した片方である。オレンジの $2$ つも合同で $$\triangle ACH = \frac{1}{2}\,q\,h = \frac{qh}{2}$$

三角形 $ABC$ はこの $2$ つの和だから、

$$S = \frac{ph}{2} + \frac{qh}{2} = \frac{1}{2}(p+q)\,h = \frac{1}{2}\times\underbrace{(p+q)}_{\text{底辺}}\times\underbrace{h}_{\text{高さ}}$$

底辺は $p+q$、高さは $h$ なので、確かに「底辺 $\times$ 高さ $\div 2$」が得られた。$\blacksquare$

3. 鈍角三角形の場合

上の証明は「垂線の足 $H$ が底辺の内側に落ちる」ことを使っている。鈍角三角形では、短い辺を底辺に選ぶと足が底辺の外側にはみ出してしまい、素直な足し算ができない(図2)。

鈍角三角形も最長辺を底辺に取り直せば垂線の足が内側に入る A B C H 最長辺 足が外側 最長辺を 底辺に回転 A C B H 足は内側 最長辺 = 底辺
図2. (左)鈍角三角形で最長辺でない辺 $BC$ を底辺にすると、垂線の足 $H$ が底辺の外側(延長線上)に落ちる。(右)同じ三角形を回転して最長辺 $AC$(緑)を底辺に取り直すと、垂線の足は必ず内側に入り、図1の足し算の証明がそのまま使える。

そこで、最長辺を底辺に選べばよい。最長辺を $BC$、頂点 $A$ から $BC$ へ下ろした垂線の足を $H$ とすると、$H$ は必ず線分 $BC$ の内側に来る。

理由:もし足 $H$ が $BC$ の外にはみ出したとする。たとえば $B$ の外側なら、並びは $H,\,B,\,C$ の順になるので $HC > BC$。ところが $AC$ は直角三角形 $AHC$ の斜辺だから、水平な辺 $HC$ より長い(斜めの線分は、その水平の影より長い)。よって

$$AC > HC > BC$$

となり、$BC$ が最長辺であることに反する。$C$ の外側にはみ出す場合も同様に $AB > BC$ となって矛盾する。ゆえに足 $H$ は必ず $BC$ 上(内側)にある。鈍角三角形でも直角三角形でも、最長辺を底辺にとる限り例外はない(鋭角三角形なら、そもそもどの辺を底辺にとってもよい)。

足が外に出ると AC > HC > BC となり最長辺に矛盾する A B C H 足が外 AC(斜辺) HC(水平) BC
図3. 足 $H$ が底辺 $BC$ の外($B$ の外側)に出たと仮定した場合。直角三角形 $AHC$ の斜辺 $AC$(紫)は水平な辺 $HC$(緑)より長く、$HC$ は $BC$(青)を含むので $BC$ より長い。よって $AC > HC > BC$ となり、$BC$ が最長辺であることに矛盾する。

必要なら三角形を回転させて最長辺を下にすればよい(回転は面積・辺の長さ・高さを変えない)。したがって、どんな三角形でも最長辺を底辺にとれば、場合分けをせず図1の証明だけで面積 $S = \dfrac{\text{底辺} \times \text{高さ}}{2}$ が求められる。$\blacksquare$

よくある質問

Q1. 三角形の面積が「底辺 × 高さ ÷ 2」になるのはなぜか

頂点から底辺に垂線を下ろすと、三角形は2つの直角三角形に分かれる。各直角三角形は、その2辺(底辺の一部と高さ)を辺とする長方形を対角線で二等分した片方なので、面積はそれぞれ長方形の半分。2つを足すと $\dfrac{ph}{2}+\dfrac{qh}{2}=\dfrac{1}{2}(p+q)h=\dfrac{1}{2}\times$ 底辺 $\times$ 高さ になる。

Q2. 鈍角三角形でも同じ証明が使えるのか

使える。最長辺を底辺にとれば、頂点から下ろした垂線の足は必ず底辺の内側に落ちる。もし足が外に出ると、その頂点から反対側の端までの辺が最長辺より長くなってしまい(斜辺は水平の影より長いため)、最長辺であることに矛盾するからである。だから鈍角三角形でも、最長辺を底辺にすれば図1の足し算の証明がそのまま使える。

関連項目・参考資料

サイト内の関連ページ

参考資料

  • Euclid, Elements, Book I, Proposition 41(三角形は同じ底辺・同じ高さの平行四辺形の半分である)
  • Wikipedia: 三角形
  • Wikipedia (en): Area of a triangle