三平方の定理

Pythagorean Theorem

入門(高校数学レベル)

このページの目標

三平方の定理 $a^2+b^2=c^2$ の意味と代表的な証明、逆定理やピタゴラス数、距離公式への応用を理解する。

1. 三平方の定理

三平方の定理(ピタゴラスの定理)は、直角三角形の $3$ 辺の長さの間に成り立つ最も基本的な関係である。

A B C a b c
図1: 直角三角形(角 $A$ が直角)。斜辺 $c$ と他の 2 辺 $a,b$ について $a^2+b^2=c^2$。

三平方の定理

直角三角形において、直角を挟む $2$ 辺の長さを $a, b$、斜辺を $c$ とすると

$$a^2 + b^2 = c^2$$

$a=3,\ b=4$ なら $c=\sqrt{9+16}=\sqrt{25}=5$。$(3,4,5)$ は最も有名な直角三角形である。

2. 証明(面積による)

a b a b a b a b c c c c
図2: 一辺 $a+b$ の正方形に合同な直角三角形 $4$ つを並べると、中央に一辺 $c$ の正方形が残る。

正方形の中に並べる証明

一辺 $a+b$ の正方形の内部に、合同な直角三角形 $4$ つを並べる。中央には一辺 $c$ の正方形が残る。大きな正方形の面積を $2$ 通りに表すと

$$(a+b)^2 = 4\cdot\dfrac{1}{2}ab + c^2$$

左辺を展開して $a^2+2ab+b^2 = 2ab + c^2$。両辺から $2ab$ を引いて $a^2+b^2=c^2$。$\square$

3. 逆定理と応用

逆定理

三平方の定理の逆

三角形の $3$ 辺の長さ $a, b, c$ が $a^2+b^2=c^2$ を満たすならば、長さ $c$ の辺に対する角は直角である。すなわち、その三角形は直角三角形になる。

合同を用いた証明

3辺相等 A B C a b c A′ B′ C′ a b c
図3: 与えられた三角形 $ABC$(左)と、直角を挟む $2$ 辺が $a, b$ の直角三角形 $A'B'C'$(右)。対応する $3$ 辺 $a, b, c$ がそれぞれ等しい。

三角形 $ABC$ の $3$ 辺を $a=BC,\ b=CA,\ c=AB$ とし、$a^2+b^2=c^2$ が成り立つとする(図3 左)。

これとは別に、直角を挟む $2$ 辺が $b$ と $a$ である直角三角形 $A'B'C'$($\angle C'=90^\circ,\ C'A'=b,\ C'B'=a$)を新たに作る(図3 右)。順方向の三平方の定理より、その斜辺の長さは

$$A'B' = \sqrt{a^2+b^2} = \sqrt{c^2} = c$$

である。すると $ABC$ と $A'B'C'$ は $3$ 辺がそれぞれ等しい($BC=B'C'=a,\ CA=C'A'=b,\ AB=A'B'=c$)ので、$3$ 辺相等により合同である。合同な三角形では対応する角も等しいから

$$\angle C = \angle C' = 90^\circ$$

が成り立つ。よって $ABC$ は $\angle C$ を直角とする直角三角形である。$\square$

別証(余弦定理):余弦定理 $c^2=a^2+b^2-2ab\cos C$ に $a^2+b^2=c^2$ を代入すると $2ab\cos C=0$。$a,b>0$ より $\cos C=0$、ゆえに $C=90^\circ$ が直ちに得られる。

応用

  • 直角の作図:古代エジプトの縄張り師は、縄に等間隔の結び目をつけて $(3,4,5)$ の三角形を作り、地面に直角を作図していた。逆定理の古い実用例である。
  • ピタゴラス数:$a^2+b^2=c^2$ を満たす自然数の組。$(3,4,5),(5,12,13),(8,15,17)$ など。
  • 距離公式:座標平面上の $2$ 点 $(x_1,y_1),(x_2,y_2)$ の距離は $\sqrt{(x_2-x_1)^2+(y_2-y_1)^2}$。三平方の定理を座標に適用したものである。
  • 余弦定理との関係:余弦定理は三平方の定理を一般の角へ拡張したもので、角が直角の場合がちょうど三平方の定理になる。

よくある質問

Q1. 三平方の定理(ピタゴラスの定理)とは何か

直角三角形で、直角を挟む2辺を a,b、斜辺を c とすると a²+b²=c² が成り立つという定理。最も有名な例は (3,4,5) の直角三角形である。

Q2. 逆も成り立つか

成り立つ。3辺が a²+b²=c² を満たす三角形は必ず直角三角形になる(逆定理)。古代では縄に等間隔の結び目を作り (3,4,5) で直角を作図していた。

Q3. ピタゴラス数とは何か

a²+b²=c² を満たす自然数の組のこと。(3,4,5)、(5,12,13)、(8,15,17) などがあり、互いに素なものを原始ピタゴラス数と呼ぶ。

関連項目・参考資料

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