幾何学 上級
現代幾何学:リーマン幾何・代数幾何・シンプレクティック(大学院レベル)
上級の概要
上級では、現代幾何学の主要な分野を学ぶ。リーマン幾何学は一般相対性理論の数学的基盤であり、代数幾何学は数論と密接に関わる。シンプレクティック幾何学はハミルトン力学を幾何学的に捉え直したものである。これらは独立した学問ではなく、多様体を共通の土台として相互に深く結び付いている。本コースでは、その全体像を意識しながら学ぶ(下の「現代幾何学の構造」参照)。
学習目標
- リーマン多様体上の接続と曲率を理解する
- 代数多様体と層の基礎を学ぶ
- シンプレクティック多様体とハミルトン系を理解する
- ファイバー束と接続の理論を習得する
目次
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第1章
リーマン幾何学
レヴィ・チヴィタ接続、曲率テンソル、測地線
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第2章
代数幾何学
代数多様体、層、コホモロジー
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第3章
シンプレクティック幾何学
シンプレクティック形式、ハミルトンベクトル場、ダルブーの定理
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第4章
ファイバー束と接続
主束、接続形式、曲率形式、特性類
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第5章
ケーラー幾何学
複素多様体、エルミート計量、ケーラー多様体
読み物
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宇宙のかたちを測る ― 内側から曲率を知る幾何学
[読み物]
外から眺めなくても空間は自分の曲がりを語れる。ガウスの驚異の定理からリーマン、アインシュタインの重力までを気軽に語る。
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幾何学とは対称性のことだった ― クラインのエルランゲン・プログラム
[読み物]
乱立する幾何学を、若き日のクラインは「どの変換で不変か」という一問で束ねた。幾何学=群論という見方が射影・双曲・物理へ広がる物語を気軽に語る。
前提知識
- 幾何学 中級の内容
- 多様体論(接束、余接束、微分形式)
- 代数のホモロジー的手法
- リー群・リー代数の基礎
現代幾何学の構造
現代の幾何学は、ばらばらの分野の寄せ集めではない。共通の土台は滑らかな多様体――局所的にはユークリッド空間に見えるが、大域的には曲がりうる空間――であり、その上にどんな付加構造を載せるかで分野が枝分かれする。長さと角度を測る計量 $g$ を載せればリーマン幾何、面積と時間発展を司る2-形式 $\omega$ を載せればシンプレクティック幾何、複素構造 $J$ を載せればケーラー幾何、といった具合である。そして各分野には、その構造を特徴づける中心的な不変量や定理があり、それを通じて物理学や数論と結びつく。下図はこの見取り図である。
図:現代幾何学の見取り図。共通の土台「滑らかな多様体」に、計量・シンプレクティック形式・複素構造・接続・多項式方程式といった付加構造を載せることで各分野が生まれる。各分野には構造を特徴づける中心的な不変量(曲率・特性類・コホモロジーなど)があり、それが物理・数論への橋になる。なお代数幾何の対象は正確には代数多様体で、特異点を持ちうるなど滑らかな多様体より広い概念だが、「空間+付加構造」という同じ枠組みで捉えられる。
各分野を「どんな構造を足し、何を不変量とし、どこにつながるか」で並べると、次のように整理できる。
| 分野 | 付加する構造 | 中心的な不変量・定理 | つながる先 |
|---|---|---|---|
| リーマン幾何 | 計量 $g$(長さ・角度を測る) | 曲率テンソル・測地線・レヴィ・チヴィタ接続 | 一般相対論(重力=時空の曲率) |
| シンプレクティック幾何 | 非退化2-形式 $\omega$(面積・時間発展) | ハミルトンベクトル場・ダルブーの定理 | 古典力学(相空間の幾何) |
| ケーラー幾何 | 複素構造 $J$ + ケーラー計量(ケーラー形式 $\omega$ が閉) | ホッジ分解・カラビ=ヤウ多様体 | 弦理論 |
| ファイバー束と接続 | 主束 + 接続 $A$ | 曲率 $F$・特性類(陳類 $c$) | ゲージ理論(標準模型) |
| 代数幾何 | 多項式方程式が定める空間 | 層・コホモロジー・ザリスキー位相 | 数論(数と図形の統一) |
よくある質問
幾何学 上級では何を学ぶか?
リーマン幾何学(リーマン計量・接続・曲率テンソル・測地線)、代数幾何学(代数多様体・楕円曲線・ザリスキー位相)、シンプレクティック幾何学(ハミルトン力学との関係・ポアソン括弧)、ファイバー束と接続(陳類・ゲージ理論)、ケーラー幾何学(ホッジ理論・カラビ=ヤウ多様体)などの上級トピックを扱う。
上級幾何学は物理学とどのように関係するか?
一般相対性理論はリーマン幾何学を基礎とし、時空の曲率がリッチテンソルと応力-エネルギーテンソルで関係づけられる。ゲージ理論(標準模型・ヤン=ミルズ理論)は主束上の接続を用い、弦理論はカラビ=ヤウ多様体・シンプレクティック幾何・ファイバー束に基づいている。
アティヤ=シンガーの指数定理とはどのような定理か?
楕円型微分作用素の解析的指数(核の次元-余核の次元)が位相的不変量($K$-理論的な陳類・ポントリャーギン類の積分)に等しいという定理である。ガウス=ボネの定理・リーマン=ロッホの定理など多くの古典定理を統一し、数学・物理の両方に深い影響を与えた。