「速読で大量の本を読みたい、でも内容も覚えておきたい」
「速読すると、読んだはずなのに何も頭に残っていない…」
速読に興味を持つ人の多くが、この「速さ」と「理解・記憶」のジレンマに悩みます。 果たして、速読術と読書ノートを併用することで、この問題は解決できるのでしょうか?
この記事では、速読の科学的な真実を踏まえた上で、 「速さ」と「記憶」を両立する現実的な方法を探ります。
速読術の科学的な真実
まず、速読について知っておくべき科学的事実があります。
速読研究の知見
カリフォルニア大学サンディエゴ校のキース・レイナー教授らの研究(2016年)によると、
- 通常の読書速度:毎分200〜400語(日本語で約400〜800文字)
- 理解を保ったまま速度を上げられる限界:約2倍程度
- 「1ページを1秒で読む」ような極端な速読:理解度が大幅に低下
つまり、「読む速度と理解度はトレードオフの関係にあり、極端な速読は科学的に難しいとされています。
しかし、これは「速読は無意味」という意味ではありません。 科学的に可能な範囲での速読と、戦略的なメモ術を組み合わせることで、 読書の効率を大幅に上げることは可能です。
実用的な「速読」とは何か
「1ページを1秒で読む」ような極端な速読ではなく、 実用的な速読とは以下のようなテクニックを指します。
1. スキミング(拾い読み)
本の全体像を素早く把握する技術です。 目次、見出し、太字、図表、まとめを中心に読み、詳細は必要な部分だけ深掘りします。
スキミングの手順
- 目次を読んで全体構成を把握
- 各章の冒頭と結びを読む
- 見出しを追いかける
- 太字・強調部分をチェック
- 図表・グラフを確認
- 興味のある部分だけ詳しく読む
2. 目的読み
「この本から○○を知りたい」という目的を明確にしてから読む方法です。 目的に関係ない部分は流し読み、関係ある部分は精読します。
3. 読む前の「予習」
本を読み始める前に、著者について調べたり、書評を読んだりしておくと、 内容の理解が早まります。 背景知識があると、読む速度は自然と上がります。
速読と読書ノートは併用できるか?
結論から言えば、併用は可能です。 ただし、「速読しながら詳細なメモを取る」のは現実的ではありません。
効果的な併用のポイントは、読む段階とメモを取る段階を分けることです。
速読+読書ノートの3段階法
| 段階 | 目的 | 時間の目安 |
|---|---|---|
| 1. プレビュー | 全体像の把握、読む価値の判断 | 5〜10分 |
| 2. 速読 | 重要箇所のマーキング | 30〜60分 |
| 3. メモ整理 | マークした部分をノートに記録 | 15〜30分 |
第1段階:プレビュー(5〜10分)
本を読み始める前に、以下をチェックします。
- 目次を読んで全体構成を把握
- 「はじめに」「おわりに」を読む
- この本から何を得たいか明確にする
この段階で「この本は今の自分に必要ない」と判断したら、 読まない選択もありです。
第2段階:速読+マーキング(30〜60分)
スキミングしながら、気になる箇所にマークをつけていきます。 この段階では詳細なメモは取りません。
マーキングのコツ
- 付箋を使う:ページの端に貼る(後で剥がせる)
- ペンで線を引く:自分の本なら直接書き込む
- 電子書籍ならハイライト:後で一覧で見られる
- マークは最小限に:全部マークしたら意味がない
第3段階:メモ整理(15〜30分)
速読でマークした箇所を、読書ノートに記録します。 この段階で自分の言葉で要約・言い換えをすることで、記憶に定着します。
メモすべき内容
- 本の要点(3〜5点に絞る)
- 印象に残った引用(ページ番号も)
- 自分の感想・疑問
- 行動に移したいこと
速読に向く本・向かない本
すべての本を速読する必要はありません。 本の種類によって、読み方を変えましょう。
速読に向く本
- ビジネス書:結論が明確で、章立てがはっきりしている
- 自己啓発書:要点が繰り返される傾向がある
- すでに知識がある分野の本:新しい情報だけ拾えばいい
- 情報収集が目的の本:全部読む必要がない
速読に向かない本
- 小説・文学:行間を味わうことに価値がある
- 専門書・教科書:順序立てて理解する必要がある
- 詩・エッセイ:言葉そのものを楽しむジャンル
- 初めて学ぶ分野の本:基礎知識がないと速読できない
「この本は速読するか、精読するか」を最初に判断することが、 効率的な読書の第一歩です。
速読しても記憶に残すコツ
速読しても記憶に残すためには、以下のポイントが重要です。
1. 「捨てる」勇気を持つ
「本の内容を100%記憶する」のは不可能と割り切りましょう。 ビジネス書なら、1冊から3つの学びがあれば十分です。 「この本から○○と△△と□□を学んだ」と言えれば、読書は成功です。
2. 読了後すぐにアウトプット
速読した直後に、3分で本の内容を誰かに説明するつもりで要約を書きましょう。 「この本の要点は3つ。1つ目は…」と言えるレベルを目指します。
3. 1週間後に見返す
速読した本のメモを、1週間後に見返す習慣をつけましょう。 分散学習の研究によると、時間を空けて復習することで記憶の定着率が大幅に上がります。
4. 行動に移す
読んだ内容を実際に行動に移すことが、最も効果的な記憶術です。 ビジネス書で学んだテクニックを仕事で試す、など。 「実践した」という体験が、記憶を強固にします。
速読 vs 精読:使い分けの基準
最後に、速読と精読の使い分け基準をまとめます。
速読を選ぶ場合
- 情報収集が目的のとき
- すでにある程度知識がある分野
- 「読む価値があるか」を判断したいとき
- 時間が限られているとき
精読を選ぶ場合
- 深く理解したい内容のとき
- 初めて学ぶ分野
- 物語や文章そのものを楽しみたいとき
- 試験勉強など、確実に記憶したいとき
「全部の本を速読しなければならない」わけではありません。 本によって読み方を変える柔軟さが、効率的な読書の鍵です。
まとめ
速読術と読書ノートの併用は可能です。 ただし、「読みながら詳細なメモを取る」のではなく、 「速読+マーキング」と「メモ整理」を段階分けすることがポイントです。
この記事のポイント
- 極端な速読は難しいが、実用的な速読は可能
- 速読+読書ノートは「3段階法」で併用できる
- 本の種類によって速読か精読かを判断する
- 1冊から3つの学びがあれば成功
- 読了後のアウトプットと復習が記憶の鍵
「速く読むこと」が目的ではなく、「必要な知識を効率よく得ること」が目的です。 速読と読書ノートを上手に組み合わせて、読書の効率を最大化しましょう。