コンピュータビジョン 初級

特徴点とカメラキャリブレーション

初級の概要

特徴点検出 Harris, SIFT, ORB コーナー検出 スケール不変性 特徴量記述 記述子(Descriptor) BRIEF, FREAK 回転不変性 特徴点マッチング 最近傍探索 RANSAC 外れ値除去 カメラキャリブレーション チェッカーボード 内部・外部パラメータ レンズ歪み補正 画像間の対応点を見つけ、カメラの幾何学的特性を推定する

初級では、画像から特徴的な点を検出し、画像間で対応付けを行う手法を学ぶ。また、カメラの内部・外部パラメータを推定するキャリブレーション技術を扱う。

これらの技術は、3次元復元・SLAM・画像スティッチング(パノラマ合成)・拡張現実(AR)といった応用の基礎となる。特徴点の対応から幾何学的な関係を復元することが、多くの高度なタスクの出発点である。

学習目標

  • 主要な特徴点検出器(Harris, SIFT, ORB)を理解する
  • 特徴量記述子の役割と種類を理解する
  • RANSACによるロバストな推定を理解する
  • カメラキャリブレーションを実行できる

目次

  1. 第1章 コーナー検出

    Harris コーナー検出、Shi-Tomasi

  2. 第2章 SIFT特徴量

    スケール空間、DoG、記述子

  3. 第3章 ORBとバイナリ特徴量

    FAST, BRIEF, ORB

  4. 第4章 特徴点マッチング

    Brute-Force, FLANN, 比率テスト

  5. 第5章 RANSAC

    ロバスト推定、外れ値除去

  6. 第6章 カメラキャリブレーション

    Zhang法、歪み係数

  7. 第7章 レンズ歪み補正

    放射歪み、接線歪み

  8. 第8章 練習問題

    初級編の総まとめ

副読本:図入り 10 話

本編 8 章に加えて、フィルタ・エッジ・ピラミッド・キャリブレーション・歪みのコラム集 10 本を用意した。

前提知識

  • コンピュータビジョン 入門の内容
  • 微積分(勾配、ヘッセ行列)
  • 線形代数(固有値分解、SVD)
  • 確率(基礎的な概念。RANSAC の理解に役立つ)

基本概念

Harris コーナー検出

画像勾配から構造テンソル$M$を構成:

$$M = \begin{pmatrix} \displaystyle\sum I_x^2 & \displaystyle\sum I_x I_y \\ \displaystyle\sum I_x I_y & \displaystyle\sum I_y^2 \end{pmatrix}$$

コーナー応答関数:$R = \det(M) - k(\text{trace}(M))^2$

スケール空間と DoG

画像を段階的にぼかしてガウシアンピラミッドを構成し、隣接するぼかし画像の差分(Difference of Gaussian, DoG)を取ることで、スケール不変な特徴点の候補を検出する。SIFT はこの仕組みにより、拡大・縮小に頑健な特徴点を得る。

RANSAC

ランダムにサンプルを選び、モデルを推定:

  1. 最小サンプル数でモデル推定
  2. インライア(モデルに適合する点)をカウント
  3. 最も多くのインライアを持つモデルを採用

レンズ歪みモデル

放射歪み:

$$x' = x(1 + k_1 r^2 + k_2 r^4 + k_3 r^6)$$

$r^2 = x^2 + y^2$、$k_i$は歪み係数

読み物 読み物

式に入る前に、肩の力を抜いて直観をつかむための物語。「コンピュータはなぜ特徴点として角を選ぶのか」を、窓をずらす身近なたとえで眺める。

よくある質問(FAQ)

Q1. Harris コーナー検出はどのような原理か?

画像勾配から構造テンソル $M$ を構成し、コーナー応答関数 $R = \det(M) - k(\text{trace}(M))^2$ を評価する。$R$ が大きい点は、どの方向に窓をずらしても輝度が大きく変化する点、すなわちコーナーとして検出される。

Q2. SIFT と ORB の違いは何か?

SIFT はスケール空間と DoG を用いてスケール不変な特徴点を検出し、勾配ヒストグラムによる実数値記述子を生成する。ORB は FAST コーナー検出と BRIEF に基づくバイナリ記述子を組み合わせた高速な手法で、回転不変性を加えている。SIFT は精度に優れ、ORB は計算コストが低くリアルタイム用途に向く。

Q3. RANSAC はなぜ必要か?

特徴点マッチングには誤対応(外れ値)が必ず含まれるため、全点を用いる最小二乗法は外れ値に引きずられて破綻する。RANSAC はランダムに最小サンプルを選んでモデルを推定し、最も多くのインライアを説明するモデルを採用することで、外れ値に頑健な推定を実現する。

Q4. カメラキャリブレーションでは何を求めるのか?

焦点距離や主点などの内部パラメータ、カメラの位置・姿勢を表す外部パラメータ、そしてレンズの放射歪み・接線歪みを表す歪み係数を推定する。チェッカーボードを用いる Zhang 法が代表的で、既知の平面パターンを複数視点から撮影して求める。