リー代数 入門
Lie Algebra — Introduction (大学 2-3 年レベル)
このシリーズの目標
- リー代数の定義と基本的な性質を理解する
- リー括弧の意味を理解する
- 行列から作られるリー代数の具体例に親しむ
- 部分代数、イデアル、準同型の概念を学ぶ
- リー群とリー代数の関係を直感的に理解する
前提知識
- 線形代数(行列の演算、固有値、線形空間)
- 群論の基礎(群の定義、部分群、準同型)
章の構成
第1章: リー代数の定義
リー代数とは何か。線形空間にリー括弧を備えた代数構造の定義と、交換法則・ヤコビ恒等式について学ぶ。
第2章: リー括弧と交換子
行列の交換子 $[A, B] = AB - BA$ がリー括弧の典型例であることを学ぶ。物理学との関係も紹介。
第3章: 行列リー代数
$\mathfrak{gl}(n)$, $\mathfrak{sl}(n)$, $\mathfrak{so}(n)$, $\mathfrak{u}(n)$ など、行列から作られる基本的なリー代数を学ぶ。
第4章: 部分代数とイデアル
リー部分代数とイデアルの定義。群論における部分群・正規部分群との類似を理解する。
第5章: 準同型と同型
リー代数の準同型・同型の定義と基本性質。準同型定理について学ぶ。
第6章: リー群とリー代数の関係
リー群の単位元における接空間としてのリー代数。指数写像と微分の直感的理解。
第7章: 練習問題
入門レベルの理解を確認するための演習問題集。
概要
リー代数は、19世紀にノルウェーの数学者ソフス・リー(Sophus Lie)が連続変換群(リー群)の研究の中で導入した代数構造である。リー群を線形代数の言葉で記述できる強力な道具となる。
具体的には、リー代数は線形空間にリー括弧 $[X, Y]$ という演算を追加した構造である。
行列の場合、リー括弧は $[A, B] = AB - BA$ で定義される。この演算は一般に非可換であり、$[A, B] \neq [B, A]$ である(実際 $[A, B] = -[B, A]$)。
この入門では、まずリー代数の定義を学び、行列リー代数という具体例を通じて理解を深める。抽象的な概念も、行列という馴染みのある対象を通じて学ぶことで、自然に理解できるようになる。