微分 初級

多変数微分への拡張(大学1-2年レベル)

初級の概要

初級では、1変数関数から多変数関数への拡張を学ぶ。偏微分・全微分の概念から、多変数関数の極値問題、制約付き最適化、そして微分方程式の入門まで扱う。

学習目標

  • 偏微分と全微分の概念を理解する
  • 多変数関数の連鎖律を使える
  • 多変数関数の極値をヘッセ行列で判定できる
  • ラグランジュの未定乗数法を習得する
  • 多変数テイラー展開を理解する
  • 基本的な微分方程式を解ける

目次

  1. 第1章 偏微分

    偏微分の定義、偏微分の計算、高階偏微分

  2. 第2章 全微分と接平面

    全微分の定義、接平面の方程式、線形近似

  3. 第3章 多変数の連鎖律

    連鎖律の公式、陰関数定理、変数変換

  4. 第4章 多変数関数の極値

    臨界点と極値、ヘッセ行列による判定、鞍点

  5. 第5章 ラグランジュの未定乗数法

    ラグランジュ乗数法の原理、等式制約の最適化、応用例

  6. 第6章 多変数テイラー展開

    二次近似、一般のテイラー展開、誤差の評価

  7. 第7章 微分方程式入門

    変数分離形、1階線形微分方程式、応用例

  8. 第8章 厳密な解析学への入口

    極限・連続性・微分可能性の厳密な定義(ε-δ論法)

関連用語

  • 媒介変数表示の微分 — 媒介変数表示の微分 dy/dx=(dy/dt)/(dx/dt) の公式・導出・2階微分・サイクロイドなどの具体例…
  • 鞍点 — 多変数関数の極値で現れる鞍点の定義と、ヘッセ行列の符号による判定・具体例(第4章の補足)
  • ベクトル場 — 空間の各点にベクトルを対応させる写像。勾配・発散・回転、流線、保存場とポテンシャルの関係

単変数微分の発展(大学レベル)

入門(高校レベル)から一歩進んだ、1変数微分の厳密な理論。入門コースを終えたあとの発展として読むとよい。

  • 導関数の定義 — 極限による導関数の厳密な定義と、べき・指数・対数・三角関数など基本関数の微分公式(リファレンス)
  • 平均値の定理 — ロルの定理・平均値の定理・コーシーの平均値の定理を厳密に証明する
  • ロピタルの定理 — 不定形の極限を、コーシーの平均値の定理を用いて厳密に扱う
  • テイラー展開 — テイラーの定理・ラグランジュの剰余項・収束半径
  • 基本関数のテイラー展開 — $e^x,\sin x,\cos x,\ln(1+x)$ のマクローリン展開とオイラーの公式
  • 積の微分法則 — 極限の定義からの厳密証明とライプニッツの一般公式
  • 商の微分法則 — 商 f/g の微分公式を極限の定義から導出し、具体例で確認する
  • コーシーの平均値の定理 — 補助関数とロルの定理による証明、ロピタルの定理への応用

前提知識

  • 微分 入門の内容
  • 線形代数の基礎(行列、行列式)
  • ベクトルの基礎

よくある質問

微分 初級では何を学ぶか

偏微分・全微分・多変数連鎖律・多変数関数の極値・ラグランジュ未定乗数法・多変数テイラー展開・常微分方程式入門・厳密な解析(イプシロン-デルタ)などを扱う。1変数微分の基礎を前提として、多変数・応用・厳密性の方向に理解を広げる。

ラグランジュ未定乗数法とはどのような手法か

制約条件 $g(x,y)=0$ のもとで $f(x,y)$ を最大化・最小化する問題を解く手法である。補助変数(未定乗数)$\lambda$ を導入し、$\nabla f = \lambda \nabla g$ および $g=0$ を連立して解く。等式制約付き最適化の基礎で、物理・経済・機械学習に広く応用される。

多変数テイラー展開はどのように使うか

点 $(a,b)$ の近傍で $f(x,y) \approx f(a,b)+f_x(a,b)(x-a)+f_y(a,b)(y-b)+\frac{1}{2}[f_{xx}(x-a)^2+2f_{xy}(x-a)(y-b)+f_{yy}(y-b)^2]+\cdots$ と展開される。極値の判定(ヘッセ行列の正定値性)や数値計算での局所線形化・2次近似に用いられる。

読み物

  • 傾きが一つでは足りなくなる日 [読み物] — 「傾きは一つ」の世界から「向きしだいで傾きが変わる」世界へ。偏微分と勾配の発想を、丘を歩く気分で語る。
  • 入れ子をほどく魔法 [読み物] — 関数の中に関数がいる入れ子を、歯車のかみ合わせのように変化率をかけ合わせてほどく。連鎖律の発想を気軽に語る。
  • 平らだからといって頂上とは限らない [読み物] — 傾きがゼロでも山頂とは限らない。谷底か、それとも峠(鞍点)か。一階では見抜けない「曲がり具合」を二階微分が見分ける発想を、山歩きの気分で語る。