ナイキスト周波数 (ないきすとしゅうはすう)

サンプリング周波数 \(F_s\) に対して、その半分に相当する周波数 \begin{eqnarray} F_N &=& \frac{1}{2}F_s \end{eqnarray} をナイキスト (Nyquist) 周波数という。

【参考】 Nyquist はスウェーデン生まれのアメリカ人物理学者。

サンプリング周波数 \(F_s\) でサンプリングする場合、\(F_N\) 以上の周波数成分は正しく記録・再現することができない (サンプリング定理)。

【参考】 よく用いられるサンプリング周波数に対するナイキスト周波数を以下に示す。

サンプリング周波数
\(F_s\) [Hz]
ナイキスト周波数
\(F_N\) [Hz]
16,000 8,000
24,00012,000
32,00016,000
44,10022,050
48,00024,000
88,20044,100
96,00048,000
【注意】 直流からナイキスト周波数 まで 正しく記録・伝送できるわけではない。 ナイキスト周波数の正弦波は、\(\cos\) 波しか正しく再現できないので、注意が必要である。

内積 (ないせき)

同じ次元の 2 つのベクトル \(\boldsymbol{x}=\left(\begin{array}{c}x_1\\ x_2\\ \vdots\\ x_N\end{array}\right),\ \boldsymbol{y}=\left(\begin{array}{c}y_1\\ y_2\\ \vdots\\ y_N\end{array}\right)\) の、対応する要素の積を足し合わせたものを内積という。

内積の表記にはいくつか流儀があり、\(\boldsymbol{x} \cdot \boldsymbol{y}\) のように 2 つのベクトルの間に \(\cdot\) を書いたり、 \((\boldsymbol{x},\boldsymbol{y})\) のように 2 つのベクトルを \(,\) で区切って \((\quad)\) で囲んだり、 \(\lt\boldsymbol{x},\boldsymbol{y}\gt\) のように 2 つのベクトルを \(,\) で区切って \(\lt\quad\gt\) で囲んだりする。

【参考】 上に挙げた記法は、それぞれに長所・短所があるため、同一著者であっても異なる文章には異なる表記を採用していることがある。

実ベクトルの場合は \begin{eqnarray} \boldsymbol{x} \cdot \boldsymbol{y} &\triangleq& \boldsymbol{x}^T \boldsymbol{y}\ =\ \sum_{n=1}^N x_n y_n \end{eqnarray} 複素ベクトルの場合は、エルミート転置 \(\boldsymbol{x}^H = (\boldsymbol{x}^*)^T\) を用いて \begin{eqnarray} \boldsymbol{x} \cdot \boldsymbol{y} &\triangleq& \boldsymbol{x}^H \boldsymbol{y}\ =\ \sum_{n=1}^N x_n^* y_n \end{eqnarray} と定義され、定義から明らかなように 2 つのベクトルの内積はスカラーとなる。

【注意】 複素ベクトルの内積を次のように定義してもよい。 \begin{eqnarray} \boldsymbol{x} \cdot \boldsymbol{y} &\triangleq& \boldsymbol{y}^H \boldsymbol{x}\ =\ \sum_{n=1}^N x_n y_n^* \end{eqnarray} 同じことだが \begin{eqnarray} \boldsymbol{x} \cdot \boldsymbol{y} &\triangleq& \boldsymbol{x}^T \boldsymbol{y}^*\ =\ \sum_{n=1}^N x_n y_n^* \end{eqnarray} このため、よく調べずに複数の数値計算ライブラリを混用すると、定義の矛盾により見つけにくいバグを生じることがあり、注意が必要である。

実ベクトルでも複素ベクトルでも、2 つのベクトルが直角に交わる場合、 \begin{eqnarray} \boldsymbol{x} \cdot \boldsymbol{y} &=& 0 \end{eqnarray} が成り立つという性質は重要である。